年が明けた1月に行われるクラス分けテストは、新中2のクラスを決めるものである。そらまるの校舎は大規模校舎であるため、中2から早慶クラスが上位と下位に分けられる。
であるから、これまでのようにただただ「選抜クラス(特訓クラス)に残れるか」だけでなく、「まずは新中2スタートクラスが、上位クラスでのスタートか下位クラスでのスタートか」早慶クラスを目指す親子にとっての今回のクラス分けテストは、固唾を飲むテストなのである。
まずは1月後半に、選抜テストの結果が出る。そして2月にあたまに駿台の結果、2月後半に難チャレの結果が出るという流れであった。
クラス分けは、S・A・B・Cまでが合格とされておりC合格1つでも選抜クラスに入ることができるため、今まではCでもいいから合格が1つ欲しかった。
しかし、中2からは早慶が上位と下位に分かれるため、早慶上位クラスに入るためにはA合格が2つ、またはS合格が1つ必要なのである。A合格を2つ取ったことなどそらまるには今まで1度もなかったため、これはかなりハードルの高いものなのであった。
【新中2・第1回選抜テスト】結果
まずは1月後半、選抜テストの結果が出た。
【第1回・新中2選抜テスト結果】
英語 偏差値60台後半 評価S
数学 偏差値50台後半 評価A
国語 偏差値40台後半 評価C
3科 偏差値60台 評価A
まずは1つ目でA合格を取ったそらまるは、あと2つのテストでもう1つAを取れたら早慶上位クラスからスタートできる。行けるのか、そらまる!
【中1・第4回駿台学力テスト】結果
そらまるは、この結果を早稲アカから受け取って帰ってきたそのインターフォン越しに「ママ、嬉しいお知らせがあるよ(^^)/」と言った。駿台では万年偏差値51のそらまる、果たして結果は!
【中1・第4回駿台学力テスト結果】
英語 偏差値63後半
数学 偏差値52前半
国語 偏差値43後半
3科 偏差値54後半
中2から始まる早慶上位クラスの駿台目標は偏差値55と言われていたため、54後半のそらまるははたしてA合格なのかB合格なのか。それでも、万年51だったそらまるとしては本当によくやった!
しかし、私が1番嬉しかったのは数学である。駿台ではいつも数学30点~40点台、偏差値40台前半良くて半ば、解答用紙は見るも無残なほど〇の少ないものであったそらまるが、初めて55点、偏差値52前半、解答用紙を見ると半分くらい〇が付いていることへの喜びであった。
そして、数学を上げていくという作戦の決まっているそらまるだからこそ、この結果は非常に喜ばしいものであった。
駿台は外部模試なので、早稲アカのS~C合格判定がこの時点ではまだ分からない。
中1の選抜クラス(特訓クラス)は、駿台は偏差値50が合格基準と言われていた為、この時点で選抜クラス基準として合格は合格ではあろうも、これがA合格なのかそれともB合格なのか(C合格は超えていると予想した)はたして結果はいかに!
難関チャレンジへの意気込み
2つのテスト結果の出揃った2月半ば、ついに最後の砦テストである難関チャレンジであった。
早慶上位クラスでスタートしたいという闘志は、そらまるなりに密かに燃やしていたらしくそれが選抜テストや駿台への結果として現れてはいたわけであるが、しかし駿台が54後半という絶妙に微妙な結果であったため、最後に待ち受けるこの難関チャレンジを落とすことはできない、確実にA合格をここで取っておきたい状況であった。
「明日の難関チャレンジテストの範囲は?調べて」と(上から)お願いしてきたそらまるに、喜んでいそいそとネットで調べ1年の全範囲と書かれていることを伝えると、そらまるは勉強をするために部屋へ去っていった。
そらまる…成長したな…と感慨深さに浸りながら、私はその頼もしい後ろ姿見送った。
見送った3分後、そらまるは部屋から出てきて私にこう言った。
「考えてみたらさ、学校の宿題の提出期限が月曜なわけ。
僕は、テストを受けた当日は頭が疲れてるから絶対勉強しないって決めてるから、そうなると明日(日曜)難チャレ受けて帰ってきたら、学校の宿題ができないということになる。
だから、今日学校の宿題やっとかないとヤバいっしょ。難チャレと学校の宿題どっちが大事ですか?」
「は?いやいやいやいや
明日難チャレなんだから今日は難チャレ対策すべきでしょ!クラスが決まるんだよ?学校の宿題は明日やんなさいよ!!」
「口出ししないで。
明日は一切勉強しないので、僕は今から学校の宿題をします。以上。」
と言って部屋へ消えて行った。
「はああああ!?
わざわざ部屋から出てきて、いちいち難チャレ対策しない宣言するなーーー!!」
と叫び、部屋に飛び込んでやろうとしたがスナフキンパパに止められた。
そらまるが、母の目ではやる気になったように見えたとして、それでそらまるがあたかも大成長したと喜んだその瞬間から、それは母が勝手にした勝手な期待なのである。やる気になったり元に戻ったり、それを繰り返す方が人間として通常のことなのである。
また1つ、そらまるからの厳しい教えとして母の成長に繋がっていく出来事であった。
テスト後の解き直し問題
次の日難チャレから帰宅すると、そらまるは予告通り勉強は一切せずゲームを始めた。そらまるの辞書に「解き直し」という文字はない。そして考えてみると高校卒業するまでそれは変わらなかった。
、
解き直しをする子は、帰宅するなりすぐする。なぜならそれは「点数が気になる」からだ。「合格基準に達しているかとても気になる」からだ。更に上を行くならば「分からなかったものや間違えたものをそのままにしておきたくない」という神のような思考である。だからこそ、自ら体が動く。
しかし、「点数も気にならない」「そりゃあクラスは下がりたくないけど解き直しはしない」という子に上のタイプの子と同じことを求めるほうがナンセンスである。(と言いながら羨ましかったが)
そらまるが良く言っていたのは「解き直しをて点数を知っても、今更もう書き直すこともできないのになんの意味がある?それでクラスを予想して騒いでる人たちがいるけど、予想してなんの意味がある?結果出るまでハッキリ分からないことを考えてる時間て無駄じゃない?僕には理解できない。」
もちろん解き直しとは、神のような思考を持つお子さんの言葉「分からないものをそのままにしておかない」それこそが本来の意味である。
しかし、解き直しをする大多数の子達にとっての意味は「点数を知りたい」「クラスがどうなるか気になる」「合否が気になる」「周りの子達の点数を聞いて平均点をなんとなく予想したい」などであるのが現実である。
そこに親や先生の「出来なかった問題を分からないままにしておくと次のテストも取れないぞ」という正しい声掛けのもとで「そういうものだ」と納得し、解き直しをするものであろう。
しかし、解き直しをしない最たるそらまるの理屈は「もう同じ問題は出ない、解き直しの重要性が分からない」というものなのである。大人からしたらそんな発言は「屁理屈」「間違いだ」と捉えるであろう。
しかし、そらまるに根強くある「無駄なことを絶対にしたくない、やる意味が納得できないことはしたくない」という考え方がこの解き直しをしないという選択に大きく関係しており、それは解き直しに限ったことでなく、あらゆる面の判断基準となっていため、これはもはやそらまるの信念なのである。
信念であるために「自分が納得してなもの、意味を全く見いだせないもの」には「皆がそうしているから」とか「先生や親が大事だと言うから」という理由では、てこでも動かないのである。
子供の言うことだからと、つい大人は屁理屈だと捉え、これを無視して力で押し通してしまいがちであるが、もし力で押し通せたとしてもこの「本人が納得していない、意味を見出せていない」状況でそれをさせても、自ら体が動いてそれをする子の吸収力には遥かに及ばないこととなる。
こういったタイプの子には「解き直せーーー!」と無駄な争いに時間に費やすより、こういったタイプの子に沿った「解き直しに通ずる別の方法」を模索する時間に費やすほうが余程有益である。
そらまるが中3の受験期でお世話になった家庭教師の早田先生は
「同じ問題を解き直すということを心底嫌がるが新しい問題なら喜んで解くという男子はほんとに多いです。そらまる君はそれの最たる子です。
なので、そらまる君には「解き直ししなさい」とはせず、新しい問題だと伝え、数字だけ変えた問題を数問解かせたあと、忍ばせておいたテストで間違えた問題をスッと差し出すと、本人は気づかずにスラスラーっと解き直しています笑」
まさにこれだ。嫌々納得せずに解いてる時間より、気持ち新たに解くよう工夫されたこの時間の方が吸収力という点では遥かに上回っているはずである。
【新中2・第1回難関チャレンジ】結果
英語 偏差値60後半 評価B
数学 偏差値45前半 評価D
国語 偏差値52後半 評価C
3科 偏差値54後半 評価C
※難チャレはA・B・C・D・Eの5段階
選抜テストA合格、駿台テストは結果が出るまで分からない、そして難チャレはC合格となった。
こうしてクラス分け発表が出るその日まではハッキリ分からない状況へと結果を持ち越してくれた。「安心はさせない」という点において、そらまるは1度もブレることはなかった。
新中2クラス発表
結果そらまるは、早慶上位クラスに滑り込んだ。中1早慶クラス16名在籍中、3名が上位クラスとなり13名が下位クラスとなった。そらまるは奇跡的に、この3名の中の1名として上位クラスに入り込んだのである。
早慶上位クラスは、中1開成国立クラスから落ちてきた5名と早慶クラスからの3名の8名であった。
ここで先にお伝えしておこう。そらまるのピークはここであった。
実力不相応のクラスにラッキーで入り込んだ者というのは、これほどまでに大変なことになるのだということをそらまるはこのとき身をもって学んだのであった。
考えてみると、昔からそらまるはここぞというときに火事場の馬鹿力を発揮するところがある。しかし、その後は元の勉強しないただのそらまるに戻るため、坂を転がるように落ちていく漫画のような男である。
だがしかし、これも留年後には「勉強しないと本当に留年させられる」という現実の厳しさを身をもって学んだことで、漫画のような男から卒業した。
さて、話を戻すが、この結果にはそらまるもニヤニヤしながら帰宅し、そして発表の時の状況を話してくれた。
「はじめに、選抜下位クラスから名前を発表しはじめて「うーーー!呼ばれる…呼ばれる…」と心臓バクバクしていたら「以上です。次は上位クラスの名前を呼びます」という先生の言葉。
「嘘だろ…先生、名前呼び忘れか?」と信じられなくて心臓がもっとバクバクしてたら「そらまる君」とハッキリ名前を呼ばれた!「おっしゃああああ!!」と心の中でガッツポーズした」
しかし教室を出るとき、そらまるだけ呼び止められ「ギリギリだったからこれから頑張れよ!」と言われたとのこと。そらまるの入り込んだ上位クラスは、なにしろ開成国立クラスから降りてきた子5名、早慶クラスでトップの2名なのである。
火事場の馬鹿力を出して運を味方につけて入ってきたそらまるとは、勉強面だけでなく精神面でもあまりにレベルが違っていた。
そして、それはすぐに現実となっていく。
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