6月保護者会での地獄の個別面談で、成績不振により留年の可能性を伝えられた私は、夏休みにそらまるを個別塾に通わせようと考えている意向を伝えた。そのとき言われた言葉だ。
たかだか定期テスト対策のために個別塾ですか?
「①授業を真面目に聞き、先生が話す言葉の中で大事な部分はメモを取る。②家でその日の内容を見返す。③そこで分からないところは、個人的に先生に質問に行く。←これは、そらまる君は絶対やらないでしょうねえ…。④先生に質問にいかないのであれば、優秀な友達に聞いたり、一緒に勉強する。このようにさえしていたら、塾になど通わなくても済むんです。
普通に考えて、附属に入れたら大学受験があるわけでもなく、たかだか定期テストの対策のために塾に通う必要はありません。みんな自分でこのように勉強して、総合評価平均点が6以上をとれているんです。塾に通っているというお子さんは、ほぼ聞いたことがありません。
そらまる君は力のあるお子さんですから、塾に通わなければ無理だということはないんですから。」
力のあるお子さんと担任は仰った。そう思われる根拠が一体今のそらまるのどこに存在するのだろうか?担任としても、留年するかしないかの瀬戸際に立つ子に対し、お世辞を言うような場面ではないだろう。
考えられるとしたら、高校受験を勝ち抜いたのだから、ということか?
しかし、そらまるの場合、定期テストというものの為には誰よりも頑張れないのだから、コツコツ頑張る力のないお子さんなのだ…。
とにかく、担任の仰ることは、まさしく正論であり、なに1つ間違いはない。私はただただ「そうですね」と、深く頷きながら聞いていた。ただし、そらまるはまだその正論が通用する土俵自体にあがれていないのだ。
正論であったとしても我が子には当てはめない
高い学費を出してもらえていることを当たり前と思うな、自分で選んで入った学校なのに勉強を頑張らないなど言語道断、そして、附属に入ってまで塾に通う必要はない。
更に、先生や世の保護者の方々の口からよく聞く言葉は、高校生になったんだから、高校生にもなって、という言葉である。
大学生になったら、塾に通うことも家庭教師に見てもらうこともできないのだから、高校生のうちに自走できるようになることが必要で、それを学ぶ時期なのだと。
しかし、子供には色んなタイプがいて、更に、心の成長度合いも本当に様々なのだ。これは当たり前のことであって、だからこそ全ての子に、これらの正論が通用するわけではない。
(決して担任の仰る言葉に反論を唱えているというわけではないということを前提とする。)
高校生であっても、しっかりと高校生らしい子もいれば、体だけは大きくてもまだまだ中身は小中学生のような子もいて、その子の状態によっては、今は親が寄り添ったり、第三者を頼って、その子なりの時期が来たら手を放す、これでいいのではないのだろうか?
それぞれ手を放す時期というものがあり、その子の今にあった方法でアプローチすることこそが最も大切で、たとえ、何百人何千人の生徒を見てきた先生にアドバイスされたとしても、我が子にそれを一色単に当てはめてはならないと、私は思っている。
甘いと言われるだろうか。もちろん言われたことは多々ある。しかし、私のこの信念は特に揺れることはなかった。
そもそも子育ては育児書通りにはいかない。もちろんアドバイスには耳を傾けるし、一般論として理解も納得もできるが、結局、我が子には我が子の他に類似することのないペースがあり、それに合わせて育てていくことができるのは、親でしかない。
なにしろ子供は、学校では一応それなりの顔で対応しているだろうが、家で見せるそらまるの本来の顔は、その何百倍も分からず屋で頑固で反抗的で、なんとかなる、先生の言うことは大袈裟で、すべて脅しで、結局はなんとか進級できるんだと思って止まないのだから。
成長によって、我が子の「今抱えている問題」は消えていく
とやかく言ってはみたが、とにかく、成長が1番の万能薬なのだ。
幼い頑固者にお説教など、何時間かけて伝えても1つも刺さらないのだということを、私はそらまるによって長年経験し、学ばせてもらっているので、心底知っているのだ。
そらまるの場合は、あからさまに聞く耳を持たず反論しまくるし、その後も一切行動を変えないので、こちらのアドバイスが何も刺さっていないことが一目瞭然なのだが、親のお説教に涙を見せたり、やる気を見せたり、すぐに行動を改めたりする子も多く、それがその場しのぎの、親や先生からのお説教から逃れたい一心だった場合、3日坊主で終わったり、やってるふりをしていただけだったりすることを本当によく聞く。
皆さんも子育てを経験している上で、多少なりとも経験されたことがあるのではないだろうか?
この場合、厳しく自立を促すのは今はまだ時期ではなく、寄り添う気持ちと、我が子に今はどんなサポートが必要なのかを自分たちなりに、または子供と一緒にに考えることが必要だと思うのだ。
そらまるの親への理不尽極まりない日々の言動や、自分事に捉えていないことによっての甘すぎる見解での行動は、成長という薬が効いてくると共に、常識的な態度へと変化し、そして自ら先を見すえて自走し始めた。それは、ここから2年後である。
痒い所に手が届く個別塾の門を叩く
私は、私なりに考えた。今のそらまるの甘すぎる見解からして、担任の話を自分事と捉えて勉強を開始することはまずないだろう。そうであれば、絶対に第三者のサポートが必要だ。
担任の「自分でできるはずです」というお言葉は有難く胸にしまい、さっそく個別塾を探した。「そんなもんいらん」というそらまるに、「必要ないならないでいい、ただ体験してみてから決めてほしい」と伝えた。
そしてネットで探し、とある個別塾の門を叩いたのである。
そこは、大学生が教えてくれる塾で、学生は慶應大学生のみ、そして塾高出身者である大学生がほとんどで、だからこそ、定期テスト対策をどのように進めたらよいかを熟知しているのだと謳われていた。
コースには医学部志望コース、通常の定期テスト対策コースなどなどがあり、そして留年回避コースとあった。もちろん、我が家は留年回避コースに問い合わせた。
塾長の話によると、留年しそうな子は、ほとんどの教科が取れないので、主要教科だけでなく、副教科の面倒も大学生が見てくれるというのだ。
なんと!副教科担当の学生が在籍しているのだと!そして、定期テスト対策だけでなく、課題やレポート提出を一緒に取り組み、良い評価の付くような書き方を手厚く教えてくれるのだそうだ。
これには驚いた。そして、なんて痒い所に手が届くコースなんだろう!と、浅はかながら感動まで覚えた。なぜなら、中学の時から副教科はノー勉で挑んでいるような息子だからだ。高校に入ってからも、家庭科などは、あと1つでDが付く寸前の成績だった。
夏休み某所、嫌がるそらまるをなんとかかんとか連れ出し、留年回避塾へと送り届けた。
待つこと90分。授業を終えて出てきたそらまるは「あんな程度の勉強なら自分でできる。通わないよ。断ってね。」とバッサリと切り捨てた。
「副教科も見てくれるんだってよ?」と言ってみたが「は?副教科なんて教わる必要すらない。副教科なんて単位数が少ないのに、わざわざ教わってまでやる意味がない。単位数の多い主要教科が取れたら6いくんだよ。よく知らないくせにこんなとこ来させんなよ」と。
そらまるの言っている単位数とは、1週間の授業の回数のことを指している。
例えば、国語は週4回授業があり(4単位)生物は週3回授業(3単位)家庭科は週2回授業(2単位)だ。
そらまるの前期の成績は、20点評価点中、国語も家庭科も10点、生物は9点だった。この評価点に単位数がかけられるのだ。
(国語)10点×4単位で40点 (家庭科)10点×2単位で20点 (生物)9点×3単位で27点 となる。
確かに、単位数が多い科目を頑張ったほうが、12科目の合計として稼ぎやすいのだ…。
こうして、母の束の間の目論見は、あっさりと散ったのであった。そして、この夏休み、担任から頂いた有難いお説教とアドバイスなど、案の定1つも響いてはおらず、驚くべき、そらまるは1秒も勉強することはなかったのであった。
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