ワセアカの春期講習は、無料体験だったと記憶している。
はるか昔のこと過ぎて詳細は覚えていないが、はっきり覚えているのは、そらまるが宿題を塾の当日に仕上げていたことだ。
ギリギリまでゲームをして、家を出る1時間、最悪は30分前あたりからバタバタっと雑に終わらせて飛び出していくのだ。
いやいやいや、違うだろう、宿題とは授業で習ったものをきちんと定着させる為のもので、そらまるにはそもそもこの意識がゼロだった。
それだけではない。ゲームで負けそうだと怒って宿題どころではないのだ。
ゲームにケリがつかず、でも宿題はまだ終わっておらずで、母と子で大乱闘したあげく、いよいよ授業に間に合わない時間となり、致し方なく徒歩10分もかからないワセアカまで車で送り、後部座席で殴り書きで宿題を終わらせるという始末だった…(これが3年間続いた)
恩師との早々な出会い
そこで、まだ無料体験期間中であるのにも関わらず、私はこの時点ですでにワセアカに緊急連絡。
主任の先生が面談をしてくださるということとなり、駆け込み寺のように駆け込んだ。
そこに登場した先生こそ、このあと3年間大変お世話となった恩田先生(仮名)であった。
恩田先生は、冷静沈着、理路整然と話をする方だった。冷静さを失っている保護者には慣れたものなのであろう、落ち着いた微笑みでこう聞かれた。
「お母さん、大変でしたね。まず、そらまる君の心配される点を全てお聞かせください。」
私は、宿題を当日バタバタ行う、いくら言っても親の言うことを聞かないことを支離滅裂に話した。
恩田先生は紙に書き留めながら黙って聞いていて、私が話し終えると「以上で大丈夫ですか?」と、まっすぐ私を見つめ、淡々と話し始めた。
脳の発達を待つ
「まず、勉強しないという点ですが、この時期の子は例年ほとんどがそうなので、これに関してはまだそこまで心配はいりません。
お母さんのイライラする気持ちは分かります。親が言うことは聞かないから先生から言ってください、自習室に呼んでくださいなど、たくさんのお母様からも言われます。
しかし我々は、我々がヤバいぞと思った時点でしか自習室には呼びませんし、注意してほしいとお願いされても、我々は特に何も注意しません。
じゃあ、いつ言うのか、それにはタイミングがあります。脳の発達です。脳の発達がまだ幼い子に、何を言っても全く響きません。
懇々と勉強の大切さ、将来への繋がりを話したところで、ドアを出たら忘れます。
親御さんが怒って脅したら、一応やってる風には見せたとしても、なぜ勉強するかの意味を理解していないので集中はしませんよ。
響かない幼い脳には、怒っても無意味なのでやめてください。家でバトルするだけ無駄です。イライラするだけ本当に無駄です。
我々も、一応普段からサラッと声はかけ続けますが、ほとんど期待はしてません。
我々が、今だ!勉強する方向に追い込むぞ!というのは、脳が発達したときです。その時には自習室に毎日呼び、勉強のやり方を細かくテコ入れします。
我々が一斉に声をかける時期とは、髭が生えてきたり、声変わり、ニキビ、身長の急な伸びなど変化のときです。
なぜなら、体の成長と脳の成長はほぼ同時だと言われているからです。
体の変化と共に、雑だったノートの取り方や、テストの記述の書き方に変化が起きてくるんです。脳が同時に発達してる証拠です。
我々はこの変化を見逃さないようにしてます。3人で(英数国担当講師たち)気づいた者が直ちに報告し、作戦を練り、良くなった点を共有し、3人それぞれでその部分を褒めるようにします。
すると、今まではただ喜ぶ程度だったのが、褒められた部分を自ら意識して行動しはじめます。そこで初めて我々は懇々と話します。
なぜ勉強するのか、将来のつながりを話すとあっという間に吸収し、我々の伝えたことを楽に行動に移せます。
怒らなくても勝手に勉強します。その時の集中力や伸びは、怒られながらダラダラやっていた頃とは比べ物になりません。
早慶クラスの男子は幼い子が多いので、そうなるのは中3の夏あたりが多いですね。子供にもよりますが、男子はその辺りから急に本気モードになる子が1番多いです。
早いと中2の秋、冬辺りからの子もいますが、そらまる君の体を見るとまだ幼児体形で発達が遅い方なので、1番遅めの中3の夏だと思っていいと思います。
それまでは何を言っても響かないので、お母さんにお願いしたいのは、勉強に関しては何も言わず放っておいてください。マズイ時は我々が本人を呼び出すようになってますから。」
このお話しを頂き、私は冷静さを取り戻せた。そして今まで出会ったどの先生よりも頼れる先生だと確信し、帰りの足取りが軽かったのを覚えている。
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