受験まであと1か月。
そらまるには、
まだまだ甘い部分も多くありました。
早稲アカの恩田先生は、
そらまるに厳しい言葉ばかりかけられ、
パパもまた、
「そらまるの成績で、早慶は無理だ」
そう言っていました。
でもーー
私だけは、
そらまるの小さな変化を知っていました。
1番我が子の頑張りを知っているのは、
パパでも先生でもない。
いつも1番近くで見ている母なのです。
だから私は、
そらまるの応援をやめませんでした。
でもーー
そらまるが、
家で解いた過去問を
ビリビリに破り捨てたあの夜。
ダメ出しばかりをされ続けた私は、
ついにーー
ブチ切れたのです。
ダメ出しばかり|誰も、そらまるを信じていなかった
この夜、私はへこんでいた。
心は、もう限界に近かった。
この日も、恩田先生から
相変わらずダメ出しが届いた。
「そらまる君は、
早慶の過去問を高得点取れている子ではない」
「それなのに、
併願校の対策には見向きもしない」
そして、
「そらまる君は、変わりません。
勉強が雑なのも。
お風呂に2時間入るのも。
ドラマを2話見てから寝るのも。
これが、そらまる君なんです。
慶應じゃなくてもいいじゃないですか。」
そらまるは、
興味のあることばかりに目が行く。
併願校の対策には目を向けない。
でも私は、知っていた。
変わった部分も、確かにある。
過去問をビリビリに破くほど、
悔しさを爆発させながらも、
黙って塾に出かけたそらまるを
私は、偉いなと思った。
帰ってきたそらまるに
「お疲れさま!」と笑って声をかけると、
そらまるは、機嫌よく、
長いお風呂の旅へと向かって行った。
しばらくして、
スナフキンパパが帰宅した。
私は、洗い物をしながら、
恩田先生に言われたダメ出しを話した。
すると、
すぐにこう答えが返ってきた。
「そりゃあ、そうだよ」
誰も、そらまるを信じていなかった
スナフキンパパは、こう続けた。
「早慶合格率は、圏外だよ?」
「奇跡で受かるなんて、
そんな甘いものじゃない。
本気で行きたい子が、
お風呂に2時間なんて入らない。
お風呂から出た後もアニメ観るし。
本気なら、
寝る前にも勉強するはず。
まあ、そらまるは、
行きたい気持ちが薄いんだよ。」
そして、こう言った。
「テレサは、慶應の対策してるけど、
俺は、恩田先生の言う通り、
早大学院対策のみ、すべきだと思う。
二兎追うものは
一兎をも得ずになるよ。」
私は、黙って聞いていた。
目から涙が溢れ出し、
ボタボタとシンクに落ちた。
なんなんだよ…
どいつもこいつも
そらまるを
否定ばっかしやがって
ほんっとに
いっつも
ダメ出しばっかだな
今、崖っぷちのそらまるに必要なのは
ダメ出しや回避の
オンパレードじゃなくて
寄り添って応援することじゃないのか?
オイ?
ずっと孤独な応援団長として
1人エールを送り続けていた私の中で、
堰き止めていた感情が
ついに限界に達した。
胸の中で
カウントが始まった。
3…2…1…。
母、ついに大爆発|深夜23時、シンクに響いた叫び
「ほんっとに…
お前ら、どいつもこいつも…
ふざけんなよ!!!」
私は腹の底から叫ぶと同時に、
シンクを思いきりバーンと叩いた。
「なんだよ!お前らって誰だよ!」
驚くスナフキンパパに
「お前と
恩田先生だよ!!!」
と大絶叫した。
(恩田先生、ごめんなさい…)
「なんだと?
行きたい気持ちが薄いだと?
そらまるはな、
言葉にしないだけ!
私にはな、
行きたい気持ちしか
見えねーわ!!」
うわあああああーー(大号泣)
「そらまるが頑張ってないだと?
ふざけるなーー!!!
めちゃくちゃ
頑張っとるわ!!!
アナタは、
日中のそらまるを見てませんよね?
顔合わせたって、
そらまると一切、会話してませんよね?
恩田先生だって
授業の時しか顔合わせませんし?
それなのにさあ、
口から出る言葉は
いっつもいっつも
ダメだしばっかだな?
頑張ってない?
やる気が見えない?
そらまる君は変わらないだと???
お前らに何が分かるか!!!
そらまるは、
行きたいと言ってんだよ!
なんで応援してやらないんだよ!
まだ1か月弱ある中で、
なんで最後の対策もせず、
諦めろなんて言うんだよ!!!
二兎追うものは一兎をも得ず?
一兎を真剣に追ってる者の
襟足掴んで
引き留めてんじゃねーよ!!!
分かってるよ、届いてないのは。
だけど
私は、応援してあげたい!
恩田先生からの援護は、
もう受けられないのは
致し方ないと承知したよ!
それは、
生徒を路頭に迷わせたくない
”塾ゴコロ”だと
こちらも理解してんだわ!
だからこそ!
そらまるを応援できるのは
もう親だけだろーが!!!
私だって
実はずーっと不安だよ?
学院と言われてるのに、
勝手に塾高の対策進めて、
私は間違ったこと
してるのかもしれないと、
不安で胃が痛くなるんだよ!
だけど、
みんながそらまるを諦めたから、
私がやるしかない!
やれるだけのサポートをして、
それでダメだったら
そらまるも、私も、
一生後悔しないで済む!!!
パパはさ、
受験に一切ノータッチで
ここまで来たんだからさ、
せめて
「まだやれることはある!
最後まで諦めるなよ!
パパも応援してるからな!」
って、応援だけでいいから
してあげられないかな!?」
私は、
大号泣し、髪を振り乱して、
涙と鼻水でぐっちゃぐちゃだった。
その勢いが凄すぎて、
スナフキンパパは黙っていた。
深夜23時過ぎの大合戦であった。
お風呂からは、
まだ声変わりのしていない綺麗な歌声で
「天空の城ラピュタ」が聞こえていた。
シンクを叩いた拳は、
次の日には赤く腫れあがっていた。
私が最後まで支える
「そらまるはもう変わらない」
そう言われてもいい。
私だけは、
そらまるの「行きたい気持ち」を
最後まで、支えよう。
庭教師の早田先生に、
早稲アカで受けたテストや過去問を送り、
そらまるに必要な問題だけを
徹底して見ていただくことにした。
すると、早田先生は
こんな明るい言葉をかけてくださった。
「お母さんとそらまる君、
同じ目標に二人三脚でいいですね。
私も頑張ります!」
久しぶりに、
誰かに認めてもらえた気がした。
私は、改めて思った。
そらまる。
ママが、最後まで支えるからな。
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