地獄の保護者会 - ポジノー勉〜ポジティブ・ノー勉~

地獄の保護者会

慶應義塾高校生活

中間テストの後は、第一回目の保護者会が開催される。塾高では、保護者会参加にあたり面談希望の保護者のみ、保護者会開始前や終了後に面談が組まれる。また、担任によっては、こちらが希望を出していなくても、成績不振の生徒の保護者へ向けての面談決行のお知らせが手渡されてくる。(私はこれを地獄からの手紙と名付けた)

ある日、帰宅したそらまるからサラ~ッと「保護者会のあと、面談だから残れって」と言われる。
「え!!ちょっと待って!!それってクラス全員!?それともうちだけ!?」
新1年生、初めての保護者会。勝手の分からない私、そして呼ばれる心当たりありまくりの私は、慌ててそう叫んだ。そらまるからの答えは「多分、うちだけ」  

オーマイガッ!!!!

絶望的な気持ちで孤独に面談を待つ廊下

私は、あの時の廊下の光景を、生涯忘れることはないだろう。

内部生でなく、外部生(高校から入学組)の母という者は、この段階では知り合いが全くいないことのほうが多い。誰かに「面談呼ばれちゃったー!どうしようー!」と打ち明けて、苦しさを共有してもらうことができない。
外部生の母あるあるではないだろうか。

廊下には、各クラス前に丸椅子がいくつか並べてある。そこに座って面談を待っているのは、気分の穏やかではないお父さん、お母さん達である。
私は、俯きながら待っていた。うちのクラスで面談を待っていたのは、私一人だけであった。

廊下のあちこちには、数人で楽し気に会話するお母さんたち。皆、笑顔だ。どうやら、今からランチに行くらしい。(聞こえてきた会話)
一方私は、知り合いもいない、息子は赤点の嵐、孤独に面談を待つ。同じ廊下にいながら天と地の差である。

なんだか思っていたのと違ったなあ…。
3年間、塾高を目指し、もし合格出来たら幸せいっぱいのバラ色の日々が待っていると信じていた。
でも、今自分は、絶望的な気分で丸椅子に座り、担任にご挨拶するための列に並ぶ教室内の幸せそうなお母さんたちを、薄暗い廊下から眺めているのだ。

つかみどころがなく響きにくい

待つこと、1時間半!!!最後のお母さんの挨拶の長いったら!!!やっと最後のお母さんが教室を出ると、担任が「すみませーーん!お待たせしてしまって!!」と慌てながら、机を向かい合わせに並べ、面談が始まった。

担任の第一声は、そらまる君は、つかみどころがなく、なかなか響きにくいお子さんですね

今回の中間の結果をどう捉えているのか、担任はそらまると話したそうだ。

「勉強のやり方が分からないのか、または、やらなきゃいけないと分かっていてもやる気が起きないのか、または、十分やったのにこんな結果で困っているのか、それとも、2年かけて進級できればいいと思っているのか。
悩んでるのか、不安なのか、助けが欲しいのか、それとも、どうでもいいのか。
その辺を聞いてみても、そらまる君はそのどれでもないようで、単に、まだそこにすら辿り着いてなくて、ただ、何も考えていないような気がしました。

精神年齢に大きな差

「生徒一人一人と個人面談を15分ずつくらい設けてるんですが、すでに行きたい学部まで考えていて、その学部へ行くためにはどの程度の位置にいたら良いか、そのためには次の期末はもう少し頑張らないといけないのか、などの話がもうしっかりできている生徒もいます。

そらまる君は、まだそこまで到達していない、まだ何も考えてないようです。

今まで留年する生徒を見てきていますが、やはり成長がかなり関係します。
すでに学部のことを見据えた行動を取れる子もいれば、勉強しなければいけないということを、いくら説明してもピンと来ず、留年する子もいます。

ですが、そんな幼かった生徒も、2年生3年生になると成長して、しっかり定期テスト対策をするようになり、スムーズに進級するようになります。
ですから、留年というのは決して悪いものではないんです。成長に合わせて学んでいくということなので、塾高は、留年というものをネガティブには捉えていません。

そらまる君は、今まであらゆる場面で最後に追い上げて帳尻合わせ、うまく進んできたのでしょうね。その体験が、そらまる君に根深く刻まれているのが分かります。
ただ、塾高の成績の計算の仕方は、最後のテストだけで帳尻合わせることができない、留年を回避はできません。
全ての定期テストで安定して取っていないといけないので、常に頑張らないといけません。
最後だけではダメなんです。

その辺は、強く伝えたつもりですが…響いてないように見えますので…今後もしっかり声かけしていきますね。」

そして期末テストまで、あと2週間

担任の先生から、声掛けは続けて頂きながら、期末テストまであと2週間を切った。果たして、そらまるの心に少しは響いているのか。

いや、全く響いてはいなかった。実に予想通りである。先生に言われて心を改めたことなど、今の一度もないのだから。
リビングで、朝からスポーツ観戦に余念なく、それが終わればゲームを始める。土日はずっとこのように過ごしている。
今のところ、勉強時間ゼロだ。

予想通り、響くことなどあるわけもないと、誰よりも1番分かっていたのに、母の心は絶望感に蝕まれた。
リビングでひたすらテレビに貼り付くそらまるの背中を、見ていることがもう耐え切れず、私は1日中寝室にこもって過ごしていた。

注意など、したとて1つも聞かないのだから、あの時の私はひたすら、冬眠する熊のように巣穴にこもるしかなかったのだ。

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