M君のお母さんは、
最初、怒りと心配のご様子で相談に来られました。
・部屋が汚い
・ペットボトルを隠す
・部屋に持ちこんだ食器がそのままの状態
・テレビを観ながらワークをする
・ゲームの時間を陰で破っていた
「どうしてこんなことをするの?」
「もう信用できない!」
そう言いながら、
怒って、禁止して、ルールを増やしていると
話して下さいました。
でも私が最初にお伝えしたのは、
とてもシンプルなことでした。
「隠させてしまう環境になっていませんか?」
子どもが隠すとき。
まず疑ってほしいのは
「この子が悪い」ではなく、
隠させてしまう空気を、
親が出していないか?
隠すという行動は、防衛です。
怒られる。責められる。否定される。
そう感じたとき、人は隠します。
どの行動にも、必ず気質がある
そして、どの行動にも、
必ず気質が関係しています。
お話しを伺っていく中で、
M君は内省的な気質の子だと分かりました。
一見、だらしなく見える。
でも、それは表面だけ。
内省的な子は、
常に頭の中で何かを考えています。
情報が次から次へと浮かび、
目まぐるしく変化している。
昨日と今日で興味も思考も変わる。
でも、それを外に出さない。
言葉にもしない。
だから親からすると、
「なにも考えていないように」見えるのです。
親は言います。
「昨日約束したよね?」
でも本人の中では
昨日はもう過去。
情報は入れ替わっています。
内省的な子にとって、
なにより優先されるのは、
今、頭の中で動いていること。
だから、掃除よりも
今の思考が優先される。
本人は、
掃除なんかしてる場合ではないのです。
それが気質。
善悪の問題ではありません。
締めるのをやめたら、家の空気が変わった
このように対面でお伝えしたあと、
お母さんの中で、何かが緩みました。
数日後。
ベッド下の引き出しを開けると、
大量の空のペットボトルや、食べ終えたお皿などが隠されていたそうです。
以前なら、大激怒だったはず。
でもその日は、
なぜだかおかしくて、笑ってしまった。
「収集癖のある小動物みたい」
そう思えたのだと話してくれました。
そして自然に、こんな言葉が出たそうです。
「部屋で何を飲んでも食べてもいいし、
こんなふうに隠さなくていいよ。
出ていたら、ママが勝手に捨てるからさ」
M君はびっくりしたような顔で頷いたそうです。
数日後。
M君は、10本ほどの空のペットボトルを自分で抱えて、キッチンへ。
「やった~!おめでとうございます!」
思わず、お母さんの口からはそんな言葉が出て、
そして盛大に拍手したそうです。
いつもと違う、楽しいお母さんの反応に、
M君は照れ笑いをグッと堪えたような顔をしていたそうです。
ここからは、Mさんが送ってくださった記録の一部です。

その日、買い物から戻ると、
M君はワールドシリーズを観ながらワークをしていました。
以前なら
「え?テレビ観ながら勉強?」
と、眉をひそめていたはず。
でもその日は、
「あ~、ちゃんとやってるんだな」
そう思えたのだそうです。
行動の全てを縛らない自分。
本人に任せられる自分。
その変化に、Mさん自身が気づきました。
そして、土日や祝日を過ごす中で、
更に気づいたことがありました。
「なんだかんだ、自分で勉強してる」
これまでは、
“親が管理しないと、ちゃんと勉強しない”
という思い込みが先に立ち、
本人が動く前に、口を出してしまっていた。
でも、実際は違いました。
時間を与えて、そして、
親子で気楽に話せる
風通しのよい関係さえあれば、
彼はちゃんと、自分のタイミングで動いていたのです。
母の空気が、兄弟の関係も変えた
このご家庭には、次男君もいます。
お兄ちゃんとは正反対の
きっちり型で、努力家。
親としては
分かりやすくて、安心なタイプです。
以前は
「お兄ちゃんがテレビ見ててうるさい!
僕、勉強中なのに!」
と、怒りながら、頻繁に
お母さんに言い付けに来ていたそうです。
本人は無意識ですが、
お母さんと一緒になって、
お兄ちゃんを責めている構図でした。
けれどーー
お母さんがM君に対して穏やかになった途端、
次男君は、ピタリと言いつけにこなくなったのです。
テレビの音にイライラしなくなったのではありません。
次男君は
お母さんの”空気”を読んでいたのです。
お母さんがお兄ちゃんを責めているとき、
そこに乗ることが、
次男クンの“正解”でした。
でも、お母さんが責めなくなった。
だから、
その手段は、もう必要なくなったのです。
お母さんの気持ちは、
言葉より早く、空気の中で伝染しています。
最初に変ったのは、息子ではありませんでした
一番最初に変わったのは、
M君ではありません。
お母さんでした。
締めるのをやめた。
問題だと思うのをやめた。
「これができないと将来困る」と思うのをやめた。
それだけで、M君は、
隠さなくなり、
自分で動くようになりました。
家の空気は、静かで穏やかになりました。
そして、
M君からお母さんに、話しかけてくることが
自然に増えました。
それが、思春期の正体です
思春期は、
締めれば締めるほど離れ、
緩めれば戻ってくる時期。
「ちゃんとさせなきゃ」
その思いが強いほど、
子どもは防衛に入る。
でも、
目の前の行動は、大した問題ではない。
親がそう思えた瞬間から、
子どもは静かに、
自分のタイミングで動き出します。
子どもの行動に怒りや不安を感じるのは、
あなたが真剣だからです。
でも、その行動の奥にある理由を知れば、
見える景色は変わります。
【子どもの個性を守れる母になる90分セッション】では、
お子さんの行動の奥にある気質をひも解きます。
その意味が理解できたとき、
お母さんの関わり方は自然に変わっていきます。
90分 15,000円(税込)

