「そらまる君が早慶の中で一番受かりやすいのは、早大学院(早稲田大学高等学院)です」
恩田先生は、ある生徒の話を始めた。
「昨年も、そらまる君みたいな子がいました。
その子は夏の志望校判定で、
選抜クラスに上がってきました。
しかし、
自習室はサボるわ、とにかくだらしなくて、
ほんとにそらまる君みたいな子でした。
その子は、国語に光るものがありました。
冬休み以降、付きっきりで国語をやらせたら、
メキメキ伸びて、早大学院に合格しました。
当日、国語で90点を取りました。
英・数は、最後まで
合格点よりマイナス10でした。
そういう1発が出やすいのが、早大学院です。
そこに小論文も加わりますしね。
慶應志木や、慶應義塾には、
こういう1発はありません。」
1発がある子
恩田先生は、なぜそらまるに早大学院なのか、
理由を話し始めた。
「他の早慶の合格ラインは200点ですが、
早大学院の合格ラインは180点です。
早大学院は、3教科全ての難易度が高い為、
合格ラインが低くなるのです。
ですから、
3教科バランス良く取るタイプの子は、
全ての教科に得点できない。
という結果になる可能性があります。
逆に、そらまる君のような
1つ抜き出てる教科を持つ子のほうが、
難易度の高い英語でも得点できるため、
早大学院が受かりやすい、
「1発がある」と言えます。
例えば、英語で90点出せたら、
あとは2科で90点出せばいいんですから。」
保護者会では、
早慶全勝には、2強1普であってほしいと言われていた。
(早慶上位クラスの生徒はここに値する)
1勝をもぎ取る子であれば、
2強1弱か、1強2普であってほしいと。
(早慶下位クラスの生徒はここに値する)
そんな中で、そらまるは、
1強2弱であった。
常に、次こそ落ちると言われ続けながら、
下位クラスで、ビリかブービーを死守してきた。
しかし、そらまるの1強とは、
英語だけは開成国立クラスにも、
負けじ劣らずの、1最強タイプであった。
早慶の問題なら、
当日90点を出すという可能性はそこそこあった。
合格ラインが180点の早大学院なら、
国・数で90点取れたら、
可能性は、見えなくはないのである。
数学を、ここからどこまで伸ばせるか。
大の苦手である国語が
当日、どこまでドボンせず済むか。
国語においては、
その日の問題内容次第、運任せである。
※この合格ボーダーの数字は、過去の数字です。
ご自身でご確認お願いいたします。
「それから、
早大学院の小論文は、
1教科に相当するくらい点数が付きます。
そらまる君に、
小論文対策を受講してほしいのは、
これに当たります。
小論文の書き方を対策している子と、
対策していない子では、差が付き、
点数がはるかに違ってきます。」
作文ゼミを、ただ書きっぱなしで終わらせていたそらまる
そらまるは、とにかく国語が取れない。
中学校での作文などは、
小学生の書くような文章だった。
字も汚いし、そして、
内容はいつもふざけていた。
昔から、どうしても、
読み手(先生やクラスメイト)から
笑いを取りたい気持ちが勝つのだ。
そらまるのその内容を見て、
後期から始まる早稲アカの作文ゼミに、
週1で通うよう言われた。
しかし、
添削されて戻ってきた作文は、
いつもカバンの中に眠らせていた。
それは、
ただ書きっぱなしという状態である。
1分1秒が大切なあの時期、
あの作文ゼミは、
そらまるには意味のない時間だった。
しかし、あの頃は、
藁をもすがる思いだった。
早稲アカから勧められた講座は、
全て全制覇していた我が家であった。
これは、
とてもよくないパターンである。
添削を読み返し、
書き直すところまでが
作文ゼミの意味なのである。
(当たり前すぎる話)
それができていないのだから、
別の方法を模索することが、
我が家には必要であったのだ。
問題の相性
恩田先生から、学院は1発があり、
慶應には「1発はない」と言われた。
そこで私は、
以前から疑問に感じていたことを質問した。
「恩田先生は先ほど、
そらまるは早慶合格率は10%と仰られましたが、
※早慶合格率10%と言われた前編はこちら👇
早大学院のお話からすると、
学校によって、合格率は少し変わってきますよね?」
「まあ、そういうことは言えます。」
「そうであるなら、問題の相性でも、
早慶それぞれの合格率も、変わりますよね?
例えば、過去問で明治が取れない、
志木や本庄もイマイチ。
でも、塾高は他よりも取れているなら、
明治や志木、本庄よりも
塾高の合格率は、上がりますか?」
「塾高の過去問は解かれましたか?」
「はい、昨夜。
1番古いとこから解くと言って解いてました。」
「何点取れました?」
「67点です。」(数学)
すると、恩田先生は、非常に驚かれた。
「え!!!そんなに取れましたか!?
解くのは1回目ですよね?そんなに??」
そらまるを見て、私が感じたのは2つだ。
1つは、
やはり問題には相性があるということ。
そして、もう1つは、
行きたい学校の過去問を解くときの
本気度の違いである。
これは、
そらまると似たようなタイプの
お子様を持つ方なら分かって頂けるだろうか。
そらまるは、
満遍なく、そつなくこなすことができない。
好きなことなら本気を出すが、
興味のないものは、雑になる。
そんなタイプの男子には、
まあまあ、アルアルである。
本気度もテンションもまるで違うため、
行きたいと思う学校を解くときは本気。
しかし、それ以外を解くときの、
集中力、粘り強さ、火事場の馬鹿力など、
あらゆる力が、無意識に下がるのだ。
しかし、塾側としては、
目の前に出された点数でしか判断できない。
それぞれの子が持つ特徴を全て把握し、
しっかり加味して考えることまでは、
そりゃあできない。
そこは、育ててきた親にしか
理解や判断のできない部分である。
だからこそ、
塾や学校から言われたことだけを、
丸ごと鵜呑みにするのではなく、
親としての判断の芯を持つことが、
大切ではないだろうか。
自己採点が甘すぎる件
恩田先生は、驚いていた。
しかし、そう簡単には信用はしなかった(笑)
なぜなら、そらまるは、
見間違えや、採点が甘々すぎるという、
自己採点の過去を持つ男だったからである。
「でも、そらまる君は、
しょっちゅう採点ミスするからなあ。
この前は、中大付属を80点と提出してきましたが、
私が採点しなおしたら30点でしたから。
普通に間違えてるのに、正解にしてました。
国語の記述なんて「甘々の甘々で採点してる!」
と、国語担任が倒れてましたよ(笑)
ほんとうに、67点取れてましたか?」
と、しっかり疑われていた。(笑)
しかし、昨夜のそらまるは、
「今から塾高の一番古いのを解く。
時間になったら呼んで」
そう言って、私に解答を渡し、
自分の部屋で解き始めた。
部屋をチラっと覗くと、
カリカリと解いている真剣な後ろ姿であった。
そして、時間終了とともにリビングにきて、
私の前で採点していたため、
カンニングということはないと思われた。
「それは、分かっています。
そらまる君は、嘘をついたり、
ごまかしは一切しません。
堂々とやらない子です。
堂々と「0点でした」と言う子なので、
そこは全く疑っておりません。
ただ、天然に見間違えていたり、
正解だと思い込んでいることがよくあるんです。」
褒められてるのか、よく分からないが、
それがまさに、そらまるだ。
「1回目で、6~7割取れていたなら、
かなりいいですよ。
ただ、塾高は、
簡単な年と難しい年と波があります。
コンスタントに6割以上取れているなら、
合格率は高くなります」
帰宅後すぐに、恐る恐る採点し直してみると、
67点は62点だった。
(2aを2と書いているものに、丸がついていた)
自己採点とそこまで誤差がなく、
私は一ホッと胸をなでおろしたのを覚えている。
その後も、やはり、数学だけでなく、
国語も、塾高が1番取れていた。
国語に関しては、
ほかの学校は3割程度な中、5~6割は取れ、
母としては明らかに相性の良さを感じていた。
しかし、
早稲アカからそう認めてもらえることは、
最後まで1度もなかった。
なぜなら、
日曜必勝、通常授業の理解度テストでは
低迷の一途を辿っていた。
そして、
模試やアドバンステストで出る早慶合格率は、
常に圏外であったからだ。
大学受験を視野に入れているか
その日、帰宅したそらまるに、
面談で伝えられたことを話した。
今の状態では、早慶合格率は10%。
塾高ではなく、中大付属を受験する提案されたこと。
すると、そらまるは、
「ブッ!笑 マジ?」と笑っていた。
気にする様子はなく、鼻歌を歌いながら、
冷蔵庫を開けてジュースを取り出した。
「受けない選択肢だけはないと伝えてきたよ」
と付け加えると、そらまるは、
「そりゃ、そうでしょ」とあっさり答えた。
🍃この時は笑っていましたが、
本当はそらまるの胸に刺さっていました。
後日、塾高の過去問で大号泣した話はこちらです。
真剣味のかけらもない、短い会話ではあったが、
私は、再確認できた。
やはり、そらまる自身の
慶應義塾高校を目指す気持ちは、
全く消えていなかった。
こうして、
我が家の最終保護者面談は幕を閉じた。
恩田先生からの厳しいお言葉のおかげで、
我が家は、現実がしっかり見えた。
恩田先生は、本気で意見をぶつけてくる。
そらまるのことを相談する中で、
私は、何度も本気のお説教をされた。
それもすべては、
そらまるを真剣に思うからこそである。
そんな先生だからこそ、私は心から信頼し、
今でも感謝しきれないでいる。
この最終保護者面談で、
データを通してのアドバイスにより、
日程を変更するご家庭も多い。
これも、正しい選択である。
我が家の場合は、
大学受験で再チャレンジする
という意思が明確であったため、
チャレンジという道を選んだ。
やはり、大学受験を視野に入れるか否か。
そこが選択の分かれ道であることは確かであろう。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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