さて、そらまるの沈みそうな小舟で真っ暗な大海原に出た母は「必勝で学ぶことは早慶の数学で、これが理解不足だと過去問を取れないのも当然なんだよ。この1年必勝で学んだ単元の確認テストを洗い直したほうがいいよ」と、あちこちバラバラに放り出されていた確認テストを拾い集め、問題と解答をセットして渡しておいた。
確認テスト全12章
①整数の性質1 ②整数の性質2 ③確率 ④文章題 ⑤相似形を見つける・作る ⑥見えない円・接する円 ⑦立体図形1 ⑧立体図形2 ⑨最短距離と黄金分割 ⑩関数1 ⑪関数2 ⑫いろいろな計算と資料の整理
これらの単元を必勝授業で行ってきた中、その確認テストが常に30点程度のそらまるは、理解不足のまま次の単元に進んでいくという状態を繰り返してきたことで、恩田先生の言う「秋以降のものが回っていない」という現在につながるわけである。
目覚めの兆し
いつものそらまるであれば、このように見やすい状態にプリント類をセットしても、触れることすらない。これまでの3年間、定期テスト対策のために、理社や副教科の空欄プリントを完ぺきになるまで解けるようにと、それぞれ5部ずつくらいコピーして机に準備しておいても、次に日の朝には、まるごとゴミ箱に捨ててあった。
そのような経験が豊富であった私は、この時もなにひとつ期待せず、セットし机に置いたのであったが、この時のそらまるは違っていた。
12月半ばにあった早稲アカ5日間の休講中、これら全12単元を解き直し、そして解説を読んでいたのだ。
優秀生たちのように、スラスラ解けるようになるまで何周も解いたというわけではない。1度さらっただけである。しかし、そらまるが母からの勉強へのアドバイスを聞いたことは、このときが人生初であった。(幼・小学生時代から、1度も聞いたことがない)
この出来事は、そらまるの受験生としての目覚めの兆しであった。そらまる、中3、12月半ばのことである。
この頃から、そらまる校舎の通常授業は、1時間過去問を解き、1時間解説という内容となっていた。
冬期講習前半が冬休みから開始したが、同じく過去問→解説授業であった。
その間も、そらまるは、自習では過去問は一切解かず、単元の洗い直しに時間を割いていた。それでいいのかは、もはや母には分からず、そして一言何か言おうものなら「口出すな」と制されるだけであり、そらまるは独自の進め方で猛進し始めていた。
なぜ、独自の進め方で猛進などという言葉を使用したか、それは、恩田先生からのクラスへの指示が、自習でも過去問を解き、丁寧に解き直しをして提出するよう言われていたからである。そらまるは、この過去問提出をせず、ひたすら単元の洗い直しをしていたのである。
目覚めた後のそらまるも、やはり、一筋縄ではいかぬ受験生であった。
自己分析
始めのうちは、この単元の洗い直しが功を奏したようであった。(始めのうち、とお伝えしておく。)
冬季講習初日に解いた早稲田本庄29年度が、運良く76点取れたのである。
これには、そらまるも「単元を洗いなおしたからだ」という思いに結び付いたことへの満足感と、久々の久々に「恩田先生が「い〜ね〜!」って褒めてくれた」と、後部座席でニヤニヤ嬉しそうにしていた。
クールで無口、喜怒哀楽を表に出さないそらまるの内なる心では、恩田先生に認めてもらえるということが実は非常な喜びなのである。
「でも、簡単な年だったんじゃないかな。」と言うそらまるに「簡単な年だろうと、難しい年だろうと自分の取れるものは取りこぼさない、これができることが大事なんだよ。」と伝えると、そらまるも納得したようで「うん。」と答えた。
これは、恩田先生がよく仰る言葉であった。自分が取れるものを確実に取ることが合否のカギを握ると、私は何度も恩田先生の口から聞いた。
冬期講習前半を終えると、休む間もなく30日から1月3日までは、正月特訓である。初日は、早慶模試の国語のテストが行われ、そらまるは52点であった。
「大問2がまるまる空欄。時間がなくなった。僕は最初に古文を解いてるんだけど、時間かけ過ぎちゃうな。今度は最後に古文を解いてみようかな。
文章問題は、最初に全文読んでから問いを見ると、あの辺に答えがあったなって覚えてるからスムーズに探せた。今まで3年近く、バカみたいなやり方でずっと解いてて、みんなより時間配分を学んでないからさ、今から色々試してみないといけないなんて、あー間に合うかな!無理か?」
今まで全文読んでいなかったなんてことを、ここで初めて知った母であったが、こんな風にテスト後に自己分析するそらまるに成長したことが、まずはなにより嬉しかった。
「そうだよ、まだ時間あるんだから、試してみて自分の1番解きやすいやり方を見つけられたらいいね!大丈夫だよ!」と声をかけると「うん、そうだね。」と、素直に母の言葉を聞き入れるそらまるであった。
しかし、こののち、とある人物から「国語は、国語力がないから解けないという子はほとんどいない。数学の公式と同じく国語にも解き方があり、それをそらまる君は一切学んできていない。これは例えるなら、灯台の灯りもない真っ暗な大海の中から闇雲に手探りで答えを探している状態である」と言われることとなる。
この人物については、別の回で書くつもりであるが、国語が取れないとなるとつい、国語力が無いという理由で終わらせてしまいがちであるが、そらまるには国語こそ、1対1で横についてしっかり教えてもらうべきだったのだと遅まきながら知った。
このとき、すでに入試10日前であったため、ほとんど成す術もなく、英語と数学で戦うという選択しかなかったそらまるである。
【中3・11月・12月】第5回駿台模試と第6回駿台模試の結果
【中3・11月 第5回駿台模試】
英語 偏差値68 評価A
数学 偏差値47 評価C
国語 偏差値37 評価D
3科 偏差値51 評価C
(志望校判定)
再考圏 慶應義塾(30%未満)慶應志木(30%未満)早稲田本庄(30%未満)早稲田学院(30%未満)
【中3・12月 第6回駿台模試】
英語 偏差値61 評価B
数学 偏差値53 評価C
国語 偏差値38 評価D
3科 偏差値52 評価C
(志望校判定)
努力圏 早大学院(30%)明大明治(30%)
再考圏 慶應義塾(30%未満)慶應志木(30%未満)早稲田本庄(30%未満)
駿台模試第1回、第2回までは、早慶は努力圏、明治は可能圏であったが、10月実施の第4回からは早慶は再考圏、明治が努力圏(限りなく低い)となった。
しかし、まだまだ、やれることはあると、私は信じていて、そらまるにもそう言い切っていた。
そして、この言葉に異論を唱えるのは、恩田先生とスナフキンパパであったことは、言うまでもない。
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