中間テストを終えたそらまるは「先生たちの忠告を聞かず、合わす顔がない。先生たち、怒ってるよな…」などという言葉も、行き渋る素振りも一切なく、いつも通りに早稲アカへ出向いて行った。
こういうとき、人の言葉や顔色などに何ひとつ影響を受けない人間は強い。まさに鈍感という最大の武器だ。それは、先人の知恵すら撥ね退けてしまう残念さと表裏一体ではあるが、現在は鈍感力の大切さを説かれている時代、自分の好きなように生きているということであり、幸福度は高いのだ。そらまるは、常に幸せなのだ。
明治系列の過去問
その日は、数学の授業だった。10月から授業内で国学院久我山などの進学校や日大などの過去問演習が始まり、11月からは、いよいよMarchの過去問がスタートしていた。この日はMarchの過去問演習2回目で、明明の過去問を解いたそうだ。
前回の過去問演習は、明中の過去問であった。簡単な年の過去問からスタートすると言われ、クラスの皆はそこそこ取れていた中、僕だけめちゃくちゃ取れなかったと、お迎えした車内でぼやいていたのだが、今回の明明の過去問は、19点であった。
この日も、ほかの生徒たちが出てくるより30分遅れて出てきたそらまるは、恩田先生に残るよう言われ、中間テストのために塾をお休みしたことへのお説教のあと、今後について話されたそうだ。
以下、長くなるが、そらまるが話した内容をそのまま載せる。
「今のままだと、強気な日程は組めない。Marchを絡めた日程になる。今度の12月の面談で、お母さんにもそう伝えるつもりでいる。
そらまるは、数学にキレはあるが、努力ができない。
Marchの数学は、キレと努力のバランスの良い子が取れる。
1,2年の時から、そらまるは、駿台テストか難関チャレンジテストで早慶下位クラスに残ってきて、選抜テストでは、ほぼ落ちているが、選抜テストで受かる子が、Marchの試験に向いているんだ。
だから、そらまるは、青学や明治を受けても、多分落ちる。
だから、お母さんには、Marchの中で、○○高校を勧めるつもりだ。(Marchの中の1つ)
あそこは、そらまるの英語があれば、受かる。」
この高校は、我が家の中では、まだ話に上がったことのない高校であった。決して、嫌だとかそういうわけではなく、ほとんどの家庭で、まずは強気な日程を頭の中で組んでいると思われるが、我が家もそれに漏れず、強気な日程以外は、このとき、まだ考えていなかったからである。
恩田先生は、この時期までの本人の成績平均や意識レベルなどを現実的に見定めて、強気な日程から安全な日程へシフトチェンジすることをお勧めしはじめたということだ。私が、受験期回想の中で述べた「恩田先生からの連絡が途絶えたこと」は、ここに繋がっていくのである。
他者から影響を受けない子は、学校見学に興味がない
私は、これを聞いても、安全な日程に変更した方がいいのかという気持ちには、全く動かなかった。そらまるの意思も確認したが、I kawarazu 後部座席でスマホを見て笑っていて、答えない。
余談であるが、そらまるとは、受験に関わることをきちんと話し合えたことは、結局最後まで1度もなかった、というより、大人になった今でも、きちんと対面に座り、親子で話し合えたことなど1度もない。
フラっとリビングにきて、夕飯を作っている母に、野球のエア素振りをしながら「僕、○○するから」と告げて去っていく。
両親への相談や話し合いは一切なく、決めたことを一言告げて去っていくスタイルだ。ここに質疑応答の余地もない。
スナフキンパパが理系の先輩として、そらまるになにか話そうとしても「僕はパパとは違う人間なんだから、パパがそうだったからって、僕は同じには感じないし、同じにはならないんだよ。だから、聞くだけ時間の無駄だから話さなくていいよ。僕は僕で、パパじゃないんだからさ」と言って、聞いたためしがない。
これに関しては、早稲アカに合格体験記を話しに来る先輩たちに関しても「聞くだけ時間無駄なんだよなあ。パイセンがその方法でうまくいったからって、僕がそれで100%うまくいくなら聞く意味あるけど。僕は同じ人間じゃないんだから、その人のやり方なんて関係ないし。」と、同じことを言っていた。
失礼な奴で申し訳ないが、先輩の合格体験記を聞いても、全く奮起しないタイプもいて、こういう子の場合、奮起スイッチは他者からは得ないため、本当に難しいのだ。
そんなそらまるは、学校見学も、中1の秋に慶應義塾高校の文化祭に無理矢理なんとか連れ出したことがあったが、それきり1度も行かなかった。(そのときも「つまんないから早く帰ろう」と言って、すぐ帰った)
「僕は、校舎が綺麗だからとか、学校の雰囲気がいいとか、そこのパイセンが優しかったとか、部活がどうとか、そういうことでは心が全く動かないからさ。
学校見学は、そういうことに心が動いたり、憧れたり「よし!頑張るぞ!」って思う子が行く意味があるんだよ。
僕はさ、そういうことで「よし!頑張るぞ!」ってならないからさ、行くだけ時間の無駄なんだよ」
そして、そらまるは学校見学も高校説明会も行かないまま、入試の日に初めてその高校の門をくぐるというスタイルで、受験期を駆け抜けたのであった。
親としては、学校見学によって、憧れを抱き、目を輝かせ、わくわくが止まらない様子の我が子を1度でいいから見てみたかったが、憧れろ!と言って憧れるものではないので、仕方がなかったのである。
数学の「努力できる力」と「キレ」とは?
ここからは、私のつたない説明で申し訳ないが、そらまるのテストや模試、過去問の解答をみたうえで恩田先生が話していたのが、数学に関しての2つの力についてだった。
数学の2つの力とは、1つは、細かく1行1行読んで理解しながら1つ1つきちんと計算して答えにたどり着く力、もう1つは、かいつまんで読んでざっくり内容を掴み、なんとなくこんな答えになるんじゃないかと予測できる力である。
Marchの特に明治系の入試問題は、この力のバランスの良い子が取れるということらしい。
そらまるには、1つ目の1行1行をしっかり理解しながら計算して答えにたどり着く力は弱く、しかし、ざっくりかいつまんで内容を掴み、予測できる力は強いと(これによって、恩田先生からは何度も「そらまる君は明治の数学は無理です」と言われていた)そしてこれは、数学に関してだけではなく、3教科全てにおいてそうなのだと、各教科担当講師間での共通認識であったそうだ。
(確かに、英語の長文読解では、ざっくり読んで意味を予測するという、その強みを発揮している)
これを聞いたとき、私は「ああ、問題の解き方、考え方、向き合い方とは、その子の持って生まれた性質に非常に関係しているんだな」と感じた。
先に述べたが、そらまるは、人のアドバイスや体験談などを1つ1つじっくりと聞くことに、意味を見出せず、めんどくさがる子である。それは、この1行1行をしっかり読み、理解しながら進める力の弱さと繋がっているのではないだろうか?
先生や親と話す際は「細かい説明とかどうでもいいから、ざっくりかいつまんで、結果だけさっさと話してくれ!」と、途中の説明部分が頭の中で自動的に省かれている=だから響かないのだろう。
怒られても特に堪えないのは、このように先生の言葉を、1つ1つ理解し受け止めながら聞いていないからこそなのだろう。
このタイプには、親身になって話せば話すほど、本当に無駄なのだ。
だからこそ、ただやれと言って淡々とやらせる法のほうが、そらまるのようなタイプには効果的なのであろう。
【第4回・10月】駿台テストと早慶オープンテスト結果
10月の早慶オープンテストの日は(日曜の早慶必勝にクラスアップできる大事なテストであり、選抜生にとっては早慶合否の目安となるテスト)なんとまあ、そらまる中学校の体育祭と重なり、同じ中学に通う生徒達は全員、別日受験となったため、あくまで、受験者達の結果と照らし合わせて見るのみであったが、全体平均点よりプラス2点、早慶コース基準点よりプラス12点であった。
【第4回・10月】駿台テスト
※今回の駿台は、開成国立組不在により偏差値が高めに出ると言われていたが、この結果であった。
英語 偏差値69 判定A
数学 偏差値30 判定D
国語 偏差値49 判定D
3科 偏差値49 判定C
いつも載せていないアドバンステスト(現在のハイレベルテスト)については、需要があるか分からないが、またの機会にでも一気に載せていこうと思う。
アドバンステストはクラスアップダウンには関係ないテストであるが、恩田先生はこの月例テストをかなり参考にして、12月の面談時に話されていたように記憶する。
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